逆算して将来を考える人を育てたい/算数・数学教師 益冨 ゆか

2025/07/02

生徒には失敗談もたくさん話します。
大人も完璧ではありませんから。

PROFILE

逆算して将来を考える人を育てたい/算数・数学教師 益冨 ゆか

益冨 ゆか

2016年4月 新卒入社

長崎大学大学院出身
算数・数学教師

船乗り志望から塾の教師に

大学では水産学部に進学し、海について専門的に学ぶ中で、次第に船乗りという職業に関心を持つようになりました。しかし、大学院での研究分野を活かせる就職先が限られていることに気づいたことで、自分の将来について改めて真剣に考えるようになりました。

「船乗り以外で、自分に合う仕事は何だろう?」そう自問自答した時、「人と関わることが好き」という自身の特性に気づきました。
小さい頃から年下の子の面倒を見るのが得意で、習い事の場でもよく大人たちからその役割を任されていました。また、人と話すのが好きなので、ハンバーガーショップや百貨店の催事売場で接客のアルバイトをしていました。これまでの経験を踏まえ、自分の特性を活かせると思い、英進館への入社を決めました。

実は、中学3年生のとき、母の勧めで英進館に1年間通塾していました。きっかけは中学2年生で成績が落ちたこと。母が私に内緒で英進館の入塾手続きを済ませていたんです(笑)。そこで「わかるようになる面白さ」に惹かれ、特に数学が大好きになりました。そして、この「できるようになる楽しさ」を生徒にも感じてほしいという思いから、教える科目も数学を選びました。

結果的に学生時代に目指していた職業と全く異なる進路となりましたが、塾の教師という仕事は自分に向いていると思います。

「プライベート」と「対生徒」では、自分自身を切り替えています。スイッチが入ると「先生モード」になれるタイプですね。
ヨット部だった影響か声が大きいので、担当している小中学生の生徒たちには「元気の良い体育会系」だと思われているかもしれません(笑)。大事なポイントではあえて小声で話すなど、子どもたちが自然と話を聞いてくれるよう工夫しています。

保護者の方から勉強以外の相談もしてもらえる関係に

英進館に入社して今年で10年目になります。その間には大変なことも嬉しいことも、本当に多くの経験をしてきました。

言葉で伝える仕事だからこそ、時には自分の意図しない伝わり方をしてしまい、保護者の方からお叱りを受けることもありました。しかし、それは私を信頼して話してくださっている証だと考え、反省しつつもポジティブに受けとめるように心がけています。

また、「子どもが学校に行けない」「家庭での態度が乱暴」といった勉強以外の悩みをご相談いただくこともあります。家と塾で子どもが違う顔を見せるのは自然なこと。だからこそ、塾の先生としてだけでなく、保護者様の相談相手として寄り添えるように努めています。

子どもの学ぶ姿勢や質問のレベルが上がると嬉しい

勉強が苦手だった子が、ささいなことをきっかけに毎日塾に通うようになり、たくさん質問してくれるようになるのがやりがいですね。

中には数学がわからないという以前に、国語力に課題を抱えており、問題文の意味すら理解できていない生徒もいます。
また、「なぜこの公式になるの?」と根本的な部分に疑問を抱く生徒もいて、すぐに適切な答えを返すのが難しい場合もありますね。もちろん公式には根拠がありますが、詳細な説明は複雑になるため、まずは「公式を覚えてね」と伝える場合もあります。

このように、子どもたちが質問のレベルをどんどん上げていく姿を見ると、本当に嬉しくなります。最初は漠然としか尋ねられなかった子が、「自分はこう思うのですが、実際はどうでしょうか?」というように、具体的な問いができるようになる。その成長を間近で見られることに喜びを感じます。

子どもたちと良い関係を築くための関わり方ですが、これは先輩たちから多くのことを学びました。一方で、私はあまり本を読む習慣がないため、実際の現場で感覚的に掴むこともしょっちゅうですね。子どもはどちらかといえば言語(で説明する理論派)よりも感覚派が多いので、感覚派同士で波長が合うのかもしれません。

小さな達成を褒めて子どもの自主的な頑張りを引き出す

中学1年生で入塾した、数学が苦手な子が印象に残っています。「毎日教科書1ページずつ、地道に取り組んでいこう」と伝え、コツコツ学習を続けた結果、次第にテストの点数が上がり、偏差値も50を超えるようになりました。

保護者の方にもご協力いただき、どんな小さなことでも積極的に褒めるように心がけました。数学の学習が1ページでも進んだら、「諦めずに頑張ったね!」と声をかけたり、テストの点数が少しでも上がったときは「数学だけなら上のクラスに行けそう!」「他の教科も頑張れば無敵やん!」と、お祭りのように盛り上げて褒める習慣を作りました。

まずは数学の成績から成長を感じてもらえたのがよかったですね。いきなり苦手なことに一気に取り組むのは膨大なエネルギーを要します。そのため、「まずは数学の1ページだけ」と小さな目標を設定するように工夫しました。

反抗期の中学生でも、褒められると内心では嬉しいものです。特に長子(お兄ちゃん・お姉ちゃん)は褒められる機会が少ない傾向にあるため、「頑張ったら褒めてあげて下さい」と親御さんへ伝えることもあります。
褒められることは「自分に興味をもってくれている」と感じることに繋がります。子どもたちはちょっとした努力でも褒められると、「もっと頑張ろう」と意欲が湧いてくるものです。褒めることは、子どもたちの「あと少し努力してみよう」という基準を上げるきっかけになると考えています。

失敗談で親しみやすさを感じてもらう

やんちゃな子ほど、大人から「できていないこと」を指摘されがちです。「ちゃんと座れてるね」「姿勢いいね」といった小さなことでも積極的に褒めるようにしています。

私自身、もともと基礎問題につまずく生徒だったので、決して「こんなのわかるでしょ?」とは言わず、「私は中学生のときこれがわからなかった!」と伝えてから授業を始めます。
「先生は英語と社会はできません!絶対みんなの方ができるよ!」と、生徒を持ち上げながらも、親しみやすさを感じてもらうよう心がけています。

理解が十分に追いついていない生徒にとっては、うまくいくためのテクニックを教わってもピンときにくいものです。成功談よりも、失敗談のほうが生徒にとっては身近に感じられると思っています。

高校受験がゴールじゃない。大学生や社会人を見据えた育成

英進館では勉強だけでなく、「自立した社会人の育成」を理念に掲げ、キャリア教育にも力を入れています。子どもたちには「中学受験や高校受験はあくまで通過点であり、大学受験やその先の現状を今のうちから見ておくべきだ」と、リアルな情報を伝えるようにしています。
特に大学受験の情報は年々変化しており、保護者世代のそれとは大きく異なっています。そのため、子どもたちの方から「今は違うんだよ」と自信をもって言えるくらい、知識をつけてもらおうと心がけています。

例えば、ただ漠然と「大学生になれば何とかなるだろう」と思っていても、いざ就活を始めてみると、「自分の専攻分野からのエントリーでは意外と狭き門である」といったことに気づくことも少なくありません。「将来どうなりたいのか」「なぜその大学を選ぶのか」を、早くから情報収集し、自分で考える習慣を身につけてもらっています。

とはいえ、どれだけ良い大学を出ても、人から信頼してもらえなければ良い仕事はできませんよね。生徒たちには、ただ頭が良いだけでなく、上司・先輩や周りの人から可愛がってもらえる、そんな魅力的な大人を目指してほしいと願っています。

平日休みや午後出社で予定を組みやすい

まとまった休みには旅行をすることが多いですね。次の連休では、大学の友人を訪ねて島根に行く計画を立てています。友人の子どもとシャボン玉で遊んだり、お土産を渡したりするのが今から楽しみです。

野球観戦も大好きです。英進館がソフトバンクホークスのスポンサーということもあり、試合のチケットをいただくこともあります!

学生時代に比べると海に行く機会は減りましたが、年に1回程度大学を訪れたときにヨットに乗せてもらうこともあります。

英進館は平日に多くの休みが設定されています。どこへ行っても空いていて快適なのがメリットです。
また、平日は13:30からの勤務なので、午前中に病院、美容院、役所なども余裕を持って行くことができます。電車のラッシュも避けられるので、基本的に座って通勤できるのも嬉しい点ですね。

年間の休日スケジュールは4月に告知されるため、前もって旅行の計画も立てやすく、プライベートを充実させることができています。

数学の女性教師仲間が増えたら嬉しい

今後、もっと算数・数学の女性教師の仲間が増えてほしいと願っています。文系科目の教師や事務職には女性も多いのですが、数学教師はまだまだ少ないのが現状です。

算数・数学教師というと「理数系のスペシャリスト」でないといけないイメージがあるかもしれませんが、決してそんなことはありません。私もそれほど数学は得意ではなかったですし、中学受験の算数も知らずに入社しました。
子どもたちの「わからない」を「わかった!」に変えられるのは、数学教師の大きなやりがいです。そんな仕事に魅力を感じてくださる方と、ぜひ一緒に働きたいですね。

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