教師

【社員インタビュー】和智 彩夢/国語

2011年度新卒入社

取りこぼさないでくれた。あの時の恩返しは、次代を担う生徒を育てること。

私の夢は、かっこいい大人になること。

私にとっての”かっこいい大人”は、子どもたちがその姿を見て、「大人になりたい」と思えるような人。子どもに「大人って楽しそうだよね。」と思わせることのできる人です。今の世の中は、決して希望に満ちているとは言い切れないけれど、子ども時代のうちに失望してほしくはない。だから、私は未来に期待できるような大人でありたいと思うのです。
私の人生における”かっこいい大人”との出会いは、中学生の時でした。英進館に通っていた私は、クラスの中でただ一人、校区の違う生徒でした。つまり、定期考査や授業の進捗が他の生徒とは異なるということ。しかしそんな状況でも、担任の先生は私を見捨てませんでした。地元が同じ生徒同士で固まっていた生徒たちの輪に私を入れてくれて、まだ学校で未履修の範囲は個別で指導してくれて。テスト前は私用に補講を組み、対策プリントを作ってくれました。ただ一人の私を取りこぼさずに、掬い上げてくれた当時の担任の先生は、今でも私の憧れ。あの時の経験がなかったら、私は今ここで教師をしていないと思います。

そんな先生のおかげで、私にとって英進館は大好きな場所になりました。みんなと違う私でも、受け入れてくれる。勉強よく頑張ったねと、褒めて伸ばしてもらえる空間。だからでしょうか、それまで勉強はさせられるものでしかなかったけれど、いつしか嫌いなものではなくなっていました。
大学受験を経て、上京した私は法曹界を目指して勉強を続けていました。「目指すは検察!」と意気込んでいましたが、なんだか自分に合わないと感じることも。そんな時、先輩から勧められた塾講師のアルバイトは、私の人生を大きく変えるきっかけになりました。
その塾は、勉強が苦手な子が地元の高校受験を目指して集まっており、アルバイトながら自由にカリキュラムを組ませてもらえるなど、多くのことを任せてもらえる環境。システム化されていない学習環境が、肌に合っていました。だんだんとのめり込んでいき、法曹志望もやめました。学業と友人との付き合い以外は、ほぼアルバイトに時間を費やしていましたね。大学4年生になって本格的に就職を考えたときに、地元福岡での一般企業として候補に上がったのは、やはり原点である英進館でした。他の就職先は考えもしませんでしたね。

英進館への就職が決まってからは、猛勉強の日々。科目の知識を習得し直さねばと必死でした。選考でも国語教師を志望するほど、国語は学生時代から好きな科目です。随筆や論説、古文などを通してさまざまな人の意見に触れたり、辺境の地の人々の生活を垣間見ることができたりと、自分の知らない世界に出会えることに、たまらなくわくわくするんですよね。
生徒には、国語が苦手な子が一定数います。「数学と違って、明確な答えがない。」「当てはまる心情なんて、どこにも書いてないし。」よく聞く悩みです。でも、答えがあるから、入試問題になっているのです。『登場人物の気持ちを答えよ』は、想像しろということではありません。論理的に文章を読み解いていけば、必ずどこかに正解が隠れている。国語は論理の科目だよ、と私は生徒に口酸っぱく伝えています。しかも、数学の公式のような解法が国語にもあるんですよ。国語が得意な生徒ほど、なんとなくで選択肢を選んでいるように思います。だから、つまづいた時にスランプに陥りやすい。そんな時は文章に公式を当てはめて、答えの導き方を教えていきます。「本文中に答えは書いてあるよ。」では伝わらないし、文章が変わったら元も子もありませんから。記述式の問題に関しても、一人ひとりの解答に添削して返却します。”答えて、添削して”を繰り返さないと伸びないので、全員を対象に毎回行うようにしています。

いま考えると、中学の時の担任は、私をよく見捨てなかったなと思います。だからこそ、私も誰一人として取りこぼさない先生になりたい。私が勤務している天神本館は、さまざまな教場から移ってきた生徒が集まる場所。環境になかなか慣れない子も多くいるからこそ、区別することなく彼らの気持ちを掬い上げていきたい。顔と名前を覚えるために、出席簿に似顔絵を書いて一致させたり、授業外でも名前を呼んで、他愛のない話をしたり。英進館はただ勉強だけをしにくる場所ではなく、生徒にとって楽しい場所であるようにと心がけています。
コロナで全教場の休館が決まった時はどうしようかと思いました。でも、立ち止まっている暇なんてない。天神本館が止まったら、全ての教場が止まってしまう。一刻もはやく方針を決めて、「動き出さないと!」という気持ちでいっぱいでした。すぐに授業動画の配信が決定し、徐々にZoomでのオンライン授業に切り替えていくことになりました。オンラインで配信するなんて初めてのこと。でも何か動かないと、受験は待ってくれない。止まらずにできることを全部やってみよう、ダメだったらまた考えよう。そんな空気が英進館全体にあったから、前向きに頑張ることができたと思います。

案の定、動画配信だけでは、コミュニケーションが一方通行になるという問題が出てきました。そこで、試しにZoomでホームルームをやってみることに。授業ではなく、ただ同じクラスの生徒と先生が集まって、わいわい話すだけ。予想以上に効果が高かったようで、「久しぶりに笑い声を聞きました。」と保護者からも感謝されたのを覚えています。
オンライン授業のノウハウが身についたことで、急な学校の休校にも対応できるようになりました。また英進館の休館日も以前なら振替授業を行っていましたが、今後は授業動画の配信に切り替えるなど、欠席・休館フォローの体制を整えることができました。授業は対面であるべきだと思い込んでいましたが、オンラインでもできるんだと、気づけたことが大きな前進。動画配信で売上を伸ばすなど、またひとつ会社としても成長し、みんなで山を乗り越えられたと思います。

英進館の取り組みの一つに、東京にいる生徒への授業があります。本来ならばコロナのせいで中止になる予定でしたが、オンラインのノウハウを蓄積したおかげで、東京にいる生徒へ授業を行うことができました。つまり、Zoomなどのオンラインツールさえあれば、今まで英進館に通えなかった生徒も拾い上げられるようになるということ。落ち着きがないなどの理由で集団授業が受けられない子も、自宅でお母さんと一緒なら授業に参加できるかもしれません。遠方の子はもちろん、さまざまな事情を抱えた子どもたちに授業が届けられることは、塾としてあるべき姿に近づいているのではないかと感じています。
英進館に入社して10年。私は珍しく異動が一度もなく、ずっとこの天神本館で生徒の成長を見守ってきました。小学校1年生から6年生になるまで、担任を受け持った生徒の親御さんは、卒業のときに泣きながら私に会いにきてくださいました。学校の先生よりも、はたまた親御さんよりも、同じ時間を過ごす生徒の成長を見守れたことが、とても嬉しかったですね。また、中学、高校と続けて英進館に通ってくれた生徒が、ふらっと遊びに来ることもあります。先日は、中学受験のときに教えていた生徒が6年ぶりに来てくれて、「大学受かったから来てみたよ。」と照れくさそうに笑うのです。やはり、この瞬間は何物にも代え難い喜びですね。

生徒の成長が垣間見られる瞬間は、他にもあります。小学校4年生から中学2年生までを対象にした、授業外で行われる『未来エッセイ』という取り組みです。今までの経験をもとに、自分がどんな大人になりたいかについて書くのですが、これがまたおもしろい。年を重ねて内容が変わる子もいれば、何年も同じ夢を書き続ける生徒もいます。とある生徒は「好きな食べ物を好きなだけ食べたいのに、アレルギーがあるから食べられない。世界から食物アレルギーをなくしたい!」と書き続けていて、将来は研究者になるんだよねと、みんながその夢を応援しています。また、未来エッセイの指導を行う教師陣にも、どのような人間になりたいか、定義付けを行う研修があります。皆それぞれの軸を持って、英進館で教師をしているのだと知れて、なかなか興味深いですよ。
私が就職活動をしていた時、内定をもらえない人は、志望動機にありきたりなことしか書いていないイメージがありました。大量のエントリーシートに埋もれてしまうのでしょうね。自分だけの突出した夢やアピールポイントって、実は練習していないと出てこないものです。しかし大学受験に小論文が課されることが増えたりと、自己表現の場は増えつつあります。未来エッセイの執筆は、そのための練習でもあり、自分がどうなりたいかを見つめ直す機会。まさに『自立した社会人の育成』という英進館の理念に則った取り組みなのです。

私が今、未来エッセイを書くとしたら、やはり「かっこいい大人になりたい!」って書くと思います。いまだに、自分の思うかっこいい大人になれているとは思えません。時代が変われば、世の中の価値観も変わっていく。それに備えてアップデートしていかなければ、大人としても、教師としても理想の完成形には近づけないと思います。出来上がったと思った瞬間、そこから成長はできませんから。たまに、未来エッセイに「和智先生みたいになりたい。」と書いてくれる生徒がいます。そのたびにふと、あの中学の時の担任を思い出す。あなたが取りこぼさないでくれた芽が、今こうして、また一人の生徒の未来を照らしています。これが、今の私にできる最大限の恩返しだって思うんですよね。